2007年09月21日

H-1Bビザ受給枠拡大の動向

 私の事務所の移民チームで一番問題と考えているのが、現在アメリカで新規にH-1Bビザが発給される数が需要に比べて非常に少ないことです。
この問題は毎年発生していますが、特に最近では、新規受給が解禁されたら、その日にパンクしてしまうような状況になっています。H-1Bビザを欲しいと思う外国人にとって、そして、H-1Bビザをスポンサーしたい会社にとって、深刻な問題となっています。さらに、アメリカに留学してきている優秀な学生も、H-1Bビザが取得できないために、結局自国に帰国を余儀なくされるケースも後を絶ちません。

 9月11日に、カリフォルニア州のシュワちゃん知事を含め、10人の知事が、連邦議会に対して、H-1Bビザの発給数を増やすように、要請の手紙を出し、その内容を公開しました。当たり前のことしか書いてありませんが、このような動きが州レベルででてきているのは嬉しいことですね。

 この手紙の全文を翻訳する必要性はないと思いますが、重要な点をご説明することで、H-1Bビザの役割や現在不足していることから発生する内容を理解していただきたいと思います。

 まず、アメリカは歴史的に移民の国であり、H-1Bビザは優秀な移民を受け入れるためのツールとして使われてきました。アメリカの大学や大学院、もしくは外国の大学や大学院を卒業した優秀な移民の人たちにアメリカ国内で働く機会を与えると同時に、アメリカの経済を発展させる手助けにもなってきました。最近ではヨーロッパ諸国でもH-1Bビザのように高学歴の外国人を招くビザを用意させはじめましたが、アメリカはいち早く外国人に活躍する場をH-1Bビザをとおして提供したのです。移民の国アメリカならではなのかもしれません。特に、エンジニアリング、数学、コンピュータの分野では外国人の活躍がめざましく、移民無くしては語れない分野であることは認知されていますね。

 少なくとも移民に頼って成長してきた分野では、これからも移民が必要とされる。そして、その移民がスムーズに働けるようにH-1Bビザを増やさないと、州単位だけではなく、国力にも影響しかねないと懸念されているのです。

 H-1Bビザは少なくとも大学卒業程度の専門分野での仕事に就くために給付されるビザですが、新規発行枠は1990年以来一年度につき6万5千件与えられています。(ただし数年前には、10万件以上に一時的に枠を増やした時期もありました。)この数字は90年からまったく変わっておらず、この点実際の経済を反映していないという批判が、知事達の手紙からにじみでています。たしかに、1990年に6万5千件であった数が18年経っても変わっていないというのは何かおかしい感じもします。

 今回の手紙がどのように影響をするのかわかりませんが、少なくとも州のレベルでも問題視されていることが議会に直接伝わり、議論されると良いと思っています。今回、この手紙に賛同している州は、ワシントン、カリフォルニア、インディアナ、コロラド、マサチューセッツ、ワイオミング、ニューヨーク、アリゾナ、ウィスコンシン、カンザス、ミネソタ、ネバダそしてテキサス州です。もっと、賛同する州が増えることを期待しています。

 それではまた次回新しいトピックを考えていきたいと思います。  
Posted by jinkencom at 15:13

2007年09月04日

意外に忘れられている報道関係者用ビザについて

9月ですが、まだまだ暑さは半端じゃないですね。西海岸はドライな天気だからまだ良いのでしょうが、法廷に行くときのスーツはつらいですね。裁判官は法服を着ますが、法廷の裏に行けばすぐに脱げます。私は法廷が終わると上着を脱いで、ネクタイをはずしますが、やはり車に乗り込むまでは我慢しなければなりません。一日法廷が続いたらたまりません、この時期は。皆さんは暑さ対策をいろいろされていますか。

さて、今回はたいした内容ではないかもしれませんが、非移民ビザカテゴリーのなかで、さもすると忘れられがちなビザについて考えてみたいと思います。
「I」というカテゴリー報道関係者ビザです。以下Iビザということにします。

Iビザに関しては日本のアメリカ大使館のウェブサイトに詳細な情報が載っていますので、まず、この情報を見るのが近道だとは思います。
http://japan.usembassy.gov/j/visa/tvisaj-niv-i.html
よくまとまっています。報道関係者というと、俗にテレビ局の人、新聞社の人、というイメージが日本では定着していると思いますが、Iビザの発給可能性範囲は、狭くはありません。たしかに、どの会社とも契約関係がないにフリーのジャーナリストであると、いろいろな意味で発給がされにくいかもしれませんが、報道関係の会社に勤めている人は結構該当する例が多いと思います。アメリカ大使館のウェブサイトで発給対象として挙げられているのが「報道、ラジオ、映画、出版に携わる外国報道機関の記者、撮影クルー、編集者、同種の職業に就く方など、その報道機関の活動に重要な外国報道機関の代表」となっています。「重要な外国報道機関の代表」という定義の仕方をされていますが、会社の代表ということではなく、会社から派遣されて会社の意向を反映している、というニュアンスで考えれば良いと思います。ですので、私の経験上も特派員の方や一時的な撮影スタッフなど、管理職ではない方々であっても、十分取得の要件を満たしています。

問題は「報道性」という法律のような、法律でないような、曖昧な基準を申請書類が満たすかどうか、というポイントです。
アメリカ大使館のウェブサイトではいくつか、報道活動として認められる例、認められない例ということを挙げていますが、私が考える一番のポイントは、「現存する事実的な情報の伝達をしているかどうか」ということだと思います。たとえば、ニュースの報道番組の作成、スポーツの中継というような、現時点で存在している情報を得ることが目的であれば、報道性を認められやすいということです。簡単に言ってしまえば、お昼や夜のニュース番組に出すような内容であれば良いのですね。この報道性があるかどうか、というところを注意して、申請することが大事になります。

「報道性」がないとされるケースについてもアメリカ大使館のウェブサイトで紹介されていますが、とにかく、宣伝や広告などの目的であれば報道性が否定されます。ですので、宣伝や広告をつくる会社であると、ビザの発給が否定されやすくなるわけです。これに加えて、日本での言い回しで言ってしまうとバラエティ番組やドラマ番組の撮影などは「報道性」がないとされるわけです。ですから、やはり上記に私が書いた「現存する事実的な情報の伝達」をする目的があるかどうか、という点を考えてみてください。もし、情報の伝達をしない、という立場の人がいる場合にも報道性を否定されてしまう可能性がありますので、申請の内容を注意したいところです。

ちなみにバラエティやドラマ番組を作成したいと考える場合、歌手や俳優、補助者などは、OビザやPビザを取得できる可能性があります。私も何件も経験がありますが、Iビザではなく、やはり、他のカテゴリーのビザを取得する必要があります。ちゃんとカテゴリーを選ぶだけでしょう。

Iビザは他の非移民ビザと同じで、将来自国へ帰ることが前提で発給されますので、日本との結びつきを証明する必要がでてきます。また、アメリカ国内では労働して賃金を得ることはできませんので、自分のお金、または日本のスポンサー会社があるということを証明しなければなりません。余談ですが、移民法上「証明」といっても、法律的な証明とは違うので、本当は違う言葉を使った方が、しっくりくるかもしれませんね。

また次回新しいトピックを考えていきたいと思います。  
Posted by jinkencom at 18:05