2007年05月06日

宗教関連従事者に関するビザ(R非移民ビザ)に関しての改正案について

信教の自由というのはアメリカの憲法(修正1条など)や日本国憲法(19条など)において基本的な人権として認められています。基本的人権とは、他人に迷惑をかけない限り最大限保障される権利と考えておいてください。宗教関連の非営利団体(非営利会社)は税金についても優遇されていますし、人々の信教の自由の裏返しとして教義を継承していくことも権利として認められています。移民法の世界においては、宗教関連ビザであるRビザというのは、通常の就労ビザ、たとえばHビザとは違った要件が用意されています。今回、移民局がRビザに関して改正案を公開しました。今回の案がそのまま改正移民法となるとはいえませんが、少なくとも行政としては、改正が必要であるという立場にたっているということは明白です。改正の中心は宗教団体が団体としての相当性を有しているかというポイントです。

私が気にしているのは、今回の改正案について1999年、宗教関連ビザに関連する移民詐欺行為が発生したことがきっかけとなった、としていますが、特定の人種や宗教を注目しているようにも感じます。良い方向で捉えれば、同時多発テロ以降、今まであまりフォーカスされていなかった部分に注目して不正をなくす努力をしているということにもなるかもしれません。行政が問題にしているのは、申請者が該当する宗教に従事している期間について虚偽の記載をしたということや、宗教従事者が妥当な資格があるのか、ビザを取得してどのような任務を負うのかという点につき虚偽の記載をする事例があるということです。ある政府の統計では、虚偽の記載等が、申請全体の33パーセントに及んでいるということです。改正案は、虚偽の申請を不許可とすることを目的としており、信教の自由には踏み込まないという姿勢をとっています。今回の改正案の詳細を以下考えていきたいと思います。

まず、第一点目ですが、アメリカにあるスポンサーとなる宗教団体の申請書の提出を義務づけるという案です。現在、アメリカ国外の大使館・領事館でRビザを申請する場合、アメリカにあるスポンサーとなる宗教団体は何もする必要はなく、大使館・領事館で外国人申請者が提出した書類をもとに審査をし、ビザを給付していました。HビザやEビザのようなビザは、まず最初にアメリカの雇用者となるスポンサーが雇用許可を受け、その後、外国人個人が申請をするのですが、Rビザはスポンサーによる雇用許可を受ける必要がないため、比較的簡単に許可を得ることができるわけです。ところが、スポンサーの審査を行わない訳ですから、お手盛りでの申請が可能であり、その点が今回問題とされました。今回の改正案では、まずアメリカにある雇用主となるスポンサー団体がアメリカ国内で、他の就労ビザと同じように雇用許可申請を行い(I-129というフォームで行われるのが通常)、雇用許可申請を得た上で、スポンサーの対象となっている外国人が各大使館・領事館で申請を行う方法が提案されています。この雇用者により雇用許可申請書には、被用者である外国人の資格、職務の内容、組織の相当性などについて、証明をすることが求められることになると思われます。

二点目ですが、移民局がアメリカにある宗教団体がスポンサーとして活動できる団体であるかということを、直接調査する可能性があるということを個別に通知することが提案されています。必ず直接調査に出向くということを意図している訳ではなく、査察があるよ、ということを警告して、虚偽の記載等を減らそうという意図があるようです。

三点目ですが、一点目のスポンサー団体による、その組織の相当性を示す方法ですが、アメリカ国税局(IRS)から非営利団体として非課税の対象であることを示す書類を得ること、など特定の書類の提出を義務づけることを提案しています。

他にもいくつか細かい点があります。たとえば、現在条文上存在している定義をさらに明確に定義するということなどです。しかし、大まかには上記三点が今回の改正案の中心となる内容です。

Rビザは宗教従事者のみに与えられますので、ある意味特殊なカテゴリーですが、実務では少なくとも私はよく扱うビザです。すべての読者に影響するわけではないとは思いますが、宗教従事者の方々は、これからの改正案には気を払って、もし改正がなされる場合には、団体の書類等の整備についても事前に用意をしておきたいところです。特に非営利団体の税務関連書類については、提出を求められる可能性がありますので、日々の管理も注意しておきたい点かもしれませんね。また、次回新しい質問を考えていきたいと思います。それではまた次回までさようなら。  
Posted by jinkencom at 19:09Comments(0)TrackBack(0)