ビザ無し入国(VWP)とEパスポートについて
ビザ無し入国、つまりビザが免除されるアメリカ入国を”ビザ・ウェーバー・プログラム”といいますが、現在、不法滞在者の少ない27カ国に許される制度となっています。日本もその中の一つで、90日間はビザがなくともアメリカに滞在できる制度です。アメリカ入国をする際に外国人はパスポートさえ持っていれば良いので気軽ですが、アメリカ移民局は偽造パスポートに非常にナーバスになっています。そこで、新しい法律がまた制定されました。2006年(今年)の10月26日以降に発行されるパスポートを使って、ビザ・ウェーバープログラムに基づいて入国しようとする外国人は必ずEパスポートによらなければならない、ということになりました。
サンフランシスコの入国審査場では「e-Passport」と書いてあるラインが今年開設されたのでEパスポートの存在にお気づきになったかたもいらっしゃるのではないでしょうか。実はサンフランシスコ空港がテストロケーションとして選ばれており、2006年1月15日から4月15日まで数カ国(オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール)の協力を得て、試運転を行ってきたのです。
Eパスポートというのは、個人情報と証明用のデジタル写真がICチップに記録されており、そのチップがパスポートに埋め込まれているというものを指します。アメリカ政府もアメリカ人に対して、ICチップ入りのパスポートをこの夏から発行する予定です。
このEパスポートの発行に関して、日本では2006年の3月20日から発行を開始しました。ICチップの入ったパスポートは改正旅券法に基づきますが第162回国会で可決され、2005年6月10日に公布されました。パスポートの偽造を防ぐ目的が重要視されて改正された法律だと言えるでしょう。
これからパスポートの更新を考えている方や新たにパスポートを取得することを考えている方は、たとえアメリカに入国しないとしても、ICチップ入りのパスポートを取得されることをお勧めします。理由はいくつもありますが、アメリカをトランジットして他の国に飛ぶ場合にもICチップ入りの方がトラブルが少ないであろうということ、また紛失・盗難にあった場合にも偽造される危険性が減るということが挙げられます。
日本におけるIC旅券の発行に関して外務省が詳しく情報を載せていますので、http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/passport/ic.htmlのページを参照して、知識を得ておいて下さい。それではまた次回までさようなら。
H-1B非移民ビザ関係のニュース
日本では新入学生、新社会人が誕生する桜咲く季節ですが、なぜ4月1日から新「年度」となったか、皆さんご存じですか。江戸時代においては、1月から12月を一年としていました。いろいろな国では今でも1月がすべての行事のはじまりというところも多いのが事実です。日本では明治政府の財政がうまく帳尻が合わず、暦年と合わせることができなくなってしまいました。そこで、「年度」という制度がつくられたのです。明治19年に現在の4月から翌年3月までという制度ができたようです。「年度」という言葉を私もHビザの発行時期に合わせて使っていますが、こういった歴史があるのですね。
2007年度分のH-1Bビザの申請がこの4月1日に解禁されました。2007年度分、65000件の新規発行分がどの程度早い時点で埋まるのか、今年も注目されています。多くの雇用者、雇用されたい外国人が4月1日に向けてすでに申請書類を用意していたのが、現実です。移民局の発表では解禁された最初の二日間で受領した申請件数は前年とほとんど変わりがないという状況の様です。去年のペースでいくと8月の頭には上限発行数に達してしまう可能性があります。
H-1Bビザの申請について、最近、移民局はわざわざいくつかの注意点について通達をだしました。申請書類を作成する際に、弁護士も申請者も気をつけなければいけないポイントだと思います。今回の移民局の通達は実在する法令に基づいているので、目新しいポイントではありませんが、ここで考えておきたいと思います。なお、申請書類に疑義のポイントが生じる場合、移民局は追加書類の提出を求める可能性があります。そうすると、更に申請のプロセスにおいて時間がかかるので注意が必要です。
不必要な遅滞を減らすため、申請の際、以下のポイントに気をつけていきたいところです。まず、8 CFR 214.2(h)(2)(B)という条文についてですが、外国人が雇用された場合、どの場所で働くのか、また働く期間はどの程度なのか、記述をする必要があります。特に、複数の場所で雇用される場合には、記述をすることが要求されます。この要件は、以前、安い賃金で外国人を雇うという移民法の潜脱が行われた事件が複数回起きていたことがあり、このことを踏まえて、移民局が厳しく吟味するようになった経緯があります。たとえば、コンピュータの技師で、雇用主の客先などで働く場合には、その客先の住所等も記述しなければならないことになっています。
もう一つの大事な要件は8 CFR 214.1(c)(4)という条文に記載されています。この条文はH-1B非移民ビザをすでに保持している外国人が雇用者を変更する場合に適用されます。すなわち一旦H-1BビザがAという雇用者をスポンサーとして給付された場合、後にBというスポンサーに変更する時に適用されます。この条文によると、雇用主を変更する場合、以前働いていた雇用主(上の例で言うとA)とH-1Bビザを受けている外国人の間で賃金が支払われ、その対価として労働が提供されていたという事実を証明することが義務づけられています。実際の労働が行われていた事実を申請書に添付する必要があるのです。なぜ、このような証明
が義務づけられているかというと、最初の雇用主のもとで実際に働かないのに、ビザを取得し易いということで潜脱的に雇用主として使われていないかどうかチェックする目的があるからです。
上記二点はいくつもある要件の中の2つでしかありません。しかし、このようにHビザの申請にはいろいろな要件が課されていますので、申請書類を作成する際には注意が必要です。次回また移民法に関する時事のトピックを取り上げていきましょう。それではまた次回まで、さようなら。