2004年10月から有効のHー1Bビザの申請状況について
サンフランシスコの気候はもう「真夏」という言葉がぴったりで、暖かいを通り越して「暑い」というのが正確です。アイスクリームやシャーベットもたくさん食べています。裁判官の役割をするときには、スーツにネクタイというかっこをしなくてはならないので、暑い日にはうんざりしています。皆さんは良い天気を楽しまれていますか。
今回は、2月3月に私の事務所の移民チームを恐怖に陥れた、Hビザの発行上限数制限について考えていきたいと思います。去年の10月から移民法上の新しい年度がはじまり、今年の2月に一年度に割り当てられている六万五千枚の発行見通しがたち、移民局はその後の申請書の受領を拒否しはじめました。よって私の事務所でも、いくつかのHビザ申請書類が返却され、何らかの形の合法滞在を作りだすのに非常に苦労しました。
今回のHビザパニックは、発行上限数の極度な減少によって生じたと考えられます。昨年度までは、Hビザの発行数が10万枚を大きく越える枚数発行されていましたが、今年度は、六万五千件と約半分程度になってしまったのです。その減少分がリバウンドして、今年度分は、すでに2月時点でほぼ使い切ってしまったという事態に陥ったのです。
たくさんの外国人でHー1Bビザを申請しようと考えていた人が、方向を修正しなくてはならない状況になってしまったと思います。JINKEN.COMの掲示板でも活発に議論されている問題ですね。
まあ、制限数に達してしまったのですから、今年度は諦めて、来年度の申請を目指す切り替えの方も多いはずです。来年度分のHー1Bビザは今年の10月1日から就労できる条件で、今年の4月1日から、移民局は新規申請分の受付を開始しました。
ところが、4月27日の移民局の発表によると、H−1Bビザの申請数は思われていたほど多くない、ということです。移民局のコメントは「驚くほど申請数が少ない」と言っていますので、何か原因があるのかもしれません。現時点では、移民局は原因の発表をしていませんが、いくつかの理由が考えられると思います。
一つは、皆さんや会社の中でも、10月から働く分のビザについては、10月からだけしか申請できないと思われている方が多いということです。あまり移民法を知らない弁護士が、間違って申請を10月まで待つようにとアドバイスしている人もいますので、注意してください。来年度分の申請はすでに可能ですから、もし現在プラクティカルトレーニングで働いている学生さんや、10月以降Hビザを新規申請することを考えられている方は、至急申請をすることを考えられた方が良いと思います。
もう一つの理由は、移民局の外国人に対する対応だと思います。このところ、外国人のアメリカ入国や滞在について、さらに厳しい風潮になっていますね。例えば、今年の終わりにかけて、すべての外国人に対して写真と指紋を入国の際に要求したり、不法滞在者や過去に犯罪歴のある外国人に対しての移民行政審判など、後を絶ちません。これらのニュースが外国人の間でも広がり、他に選択のある日本人などは、とっとと日本に帰ってしまうという現状もあるかもしれません。
もちろん、いろいろ他にも理由があるでしょうが、2つが最近気付いたポイントなので、記しておきました。ただ、今までの流れをみる限り、来年度分も非常に早い時点で上限発行数に達することが予想されます。焦る必要は現状ではないでしょうが、ぜひ仕事が決まったら、早い時点で手を打っていきたいですね。それではまた次回まで。さようなら。
現在提出されている法案の中から: H−1Bビザとビザウェーバー
日本では入学式や入社式の話題も収まりつつありますね。この時期、アメリカでは税金関連が忙しい時期ですので、私の顧問先の会社も、法律の問題から会計・税務の方に感心がいくので、通年はほんのちょっとだけ一息つけるのですが、今年は本当に忙しく働いています。外は青空で澄み渡っているんですけどねぇ。皆さんはお元気ですか?
さて今回のJINKEN.COMニュースは、現在アメリカ議会に提出されている法案のなかから、皆さんにも関係しそうなものをピックアップしてみたいと思います。そしてこれは実際に法律になっているものではなく、現在議員立法として議会に提出されている段階なので、実際に使われている法律だとは理解しないでくださいね。今回、法案を紹介したいのは、現在どのような考え方がアメリカの議会で出ているかというトレンドを感じていただくことで、将来の移民法の姿を少しでも見ていただければ良いと思ったからです。
まずH-1Bビザに関して現在上程されている議案について見ていきましょう。法案第4166号によると、アメリカ国内の大学で修士以上の学位を得た外国人に対し、各年20,000人を上限にして、H-1Bの特別枠をつくろうという動きがあります。しかし、同時に以前H-1Bを取得する際に必要であった通常のビザに加えて、更に1000ドルが申請に必要になります。驚く無かれ、さらにこの1000ドルの追加申請料に加え、500ドルの"Fraud Detection and Prevention Fee"、つまり移民詐欺を事前に検知したり、防ぐための費用を各申請者に支払わせるという法案内容になっています。
私見ですが、H-1Bの枠を拡大するということは歓迎だとは思いますが、その拡大に対して今までよりも高い費用を課すというのは、雇用者にとっても外国人本人にとっても重荷になるだけであり、テロ問題から発生した外国人のコントロール問題が波及しているだけのような感は否めません。抜本的な解決策にはほど遠いというのが、この法案を読んだ感想です。また教育を受けたものを優遇するということはH-1Bの趣旨にある程度合致していますが、アメリカの大学を卒業した者を優遇するということは外国で名をなした著名人をカバーできずに優秀な人材を逃してしまう可能性があり、H-1Bのそもそもの目的が達成できなくなってしまうかもしれませんね。
次はビザウェーバーについての法案です。移民行政側は議会に対して、ビザウェーバーでアメリカに入国する外国人にたいして、マシン・リーダブル(機会読取式)のパスポートを持つように要求する法律(今年、2004年の10月26日が施行予定)を二年間延期するように法律の修正を求めました。ガイドラインがビザ・ウェーバーで入国を許可される国々に行き渡ってない現状を鑑みての修正要求だと考えられます。日本もビザウェーバーで入国を許可されている国の一つです。
また、ビザ・ウェーバーでアメリカに入国する外国人に対しては、今年、2004年の9月30日から、指紋採取および写真撮影を要求することが決定しています。これにともなって各国から不満の声が聞こえてきますが、アメリカ側は(1)情報を積極的な諜報活動等に利用しないこと、(2)アメリカ入国前に各国である程度の審査が済むような仕組みをつくること、さらに(3)入国の際、時間がかかるのを審査官の増加などによって防ぐことなどに対して努力をすることを目標としています。しかし、どこまで現実になるのか、現在ではなんとも言えないでしょうね。
もちろん様々な法案や修正法案が提出されていて、以上はほんの一部です。皆さんに関係があるのではないかと思われる箇所を抜粋して考えてみました。また、法案が現実化しそうになったら、JINKEN.COMニュースで考えていきたいと思います。それでは次回まで、さようなら。